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医学部浪人生母親殺人事件にみる医学部受験の闇~わたしも自宅に放火しようとしていた~

 2021年3月、滋賀で医学部浪人生が医学部入学を強いる母親を殺害したという事件についての報道があった。(※1)この事件から思い出されたのが2006年の奈良自宅放火親子殺人事件だ。(※2)医学部を目指す男子高校生が父親の不在中、自宅に放火し継母とその弟妹を死にいたらしめたという事件だ。事件が起きたのは模擬試験の結果が返ってくる日だったという。この男子高校生は以前、模擬試験の結果を実際より良く伝えたことで父親にひどく怒られたことがあった。そのため、父親に模擬試験の結果を見せるのが怖くて自宅に放火したのである。この事件が報道されたとき、わたしも同じく医学部受験を志す高校生だった。塾の授業についていけずにサボったことがバレてひどく怒鳴られたこともあり、模擬試験の結果が返ってくる日は恐怖で家なんてなくなってしまえばいいと考えていた。この事件の犯人の男子高校生は少し違えばわたしだったのかもしれない。嘘をつくなといって怒られたが、そもそも怒られる恐怖から嘘をつくことになったのだ。いきすぎた締め付けが嘘をつくことにつながるのはよくあることである。高校生であっても精神的には一人の成熟した人間であり、模擬試験の悪い結果で自分の能力が低いことが露呈して、それを長時間狭い部屋で責められるのは耐えがたい屈辱だった。父に怒鳴られて1時間以上泣いて、泣き疲れて寝ていたけれどその時間を勉強に当てた方が合格に近づいていただろう。高校生にとって逃げる場所はなく、帰るところは自宅しかない。だが自宅が安全でない以上、それを壊すしかなかったのだ。そうしないと自分の魂とかプライドのようなものが失われてしまう。この奈良の事件では父親が勉強部屋をICU(集中治療室)と呼んで絶えず監視したという。湊かなえの小説、夜行観覧車でよく似た家庭内殺人が描かれており、この中では勉強部屋を手術室と呼んでいた。特に言及されていないが、奈良の事件がこの小説の原型になっているとわたしは考えている。そして、滋賀の医学部浪人生の母親殺人事件を受けて、表だっていないだけでこうした家庭は日本に山ほどあるんだろうなと思った。それほど医学部受験の闇は深い。今追いつめられている医学部受験生がいるとしたら、試験の結果だけがあなたの価値を決めるものではないと伝えたい。そして子供に医学部受験をさせる親には、医学部受験をするのはあなたの子供という一人の人間であってあなたの分身ではないと伝えたい。この滋賀の母親を殺してしまった医学部浪人生は10年の実刑判決となった。日本は、親の子殺しの罪が軽いのに子供の親殺しの罪は重すぎる。この子が母親を殺すしかない状況だったことを考えれば、もう少し情状酌量の余地があってもよかったのではないかと思う。

※1
医学部受験で9年浪人 〝教育虐待〟の果てに… 母殺害の裁判で浮かび上がった親子の実態
https://www.47news.jp/amp/5971120.html?__twitter_impression=true

※2
奈良自宅放火親子殺人事件
http://yabusaka.moo.jp/narabosi.htm