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アニメ:ストライクウィッチーズにおける美少女アニメの違和感を説明するリアリティ

 ストライクウィッチーズ島田フミカネ氏のイラストコラムがもとになったメディアミックス作品であり、1期アニメが2008年放送でその後も2期、劇場版、OVAブレイブウィッチーズ(スピンオフ)と制作されているかなり息の長いコンテンツです。3期が2020年秋アニメとして放送されましたが、1期の頃から変わらない魅力的なキャラクター、王道で燃えるストーリーでした。いわゆる美少女+ミリタリーものの先駆けと言える作品でもあり、実在の第二次大戦時代の軍人がモデルとなった美少女たちが、ネウロイという謎の敵と戦うというストーリーとなっています。銃や戦艦といったミリタリー描写の細かさも長期シリーズの人気を支えています。



○なぜ少女が戦うのか


 日本のアニメーションにおいて主人公たちが少年少女であることは多いですが、「なぜ大人ではなく少女が世界の危機と命をかけて戦わなければいけないのか」という疑問を持つ人もいるかと思われます。これに対してストライクウィッチーズでは、ウィッチの魔法力が10代の少女のみに現れるものだから、ということになっています。主人公の宮藤の祖母など一部例外はありますが、基本的にウィッチの魔法力は20歳あたりで失われ、引退したり、後方の司令官や教官といった普通の軍人になることになります。宮藤を導いてきた坂本少佐もこの魔法力の低下と前線で戦いたいという気持ちの間で悩むことになります。ウィッチとしての人生は数年と儚い命なのです。終わりがあるからこそ、ウィッチの強さも気高さも美しく描かれています。



○なぜ年頃の少女が恋愛をしないのか


 ストライクウィッチーズの世界ではウィッチがアイドル的な人気をもつこともあります。軍隊という男所帯でウィッチが恋愛をすることはないのでしょうか。男性がメインターゲットの美少女アニメだから男と恋愛なんてさせないのだろうと考える人もいるかと思いますが、ストライクウィッチーズでは「ウィッチは男性と関係を持つと魔法力を消失するから恋愛はできない」ということになっています。そもそもウィッチたちが10代の少女であるにも関わらず軍曹や少佐という階級を持っているのは、上官という立場を持つことで若い兵士の恋愛対象になることを避けるためなのです。1期にはそれを基にしたエピソードもあり、ウィッチであるにも関わらず恋に落ちて苦しむミーナ中佐が描かれています。ちなみにもちろん、ミーナ中佐はおでこにチューする程度の関係しか持たなかったため魔法力を失ってはいません。ミーナ中佐は宮藤が男性兵士といい雰囲気になったところを、宮藤が自分と同じような苦しみに合ないようにするために邪魔します。これは個人的な事情で宮藤に干渉して勝手だともとられるかもしれませんが、そもそもウィッチは恋愛禁止なのです。そして軍隊である以上、命令には従わなければなりません。



○少女同士の擬似恋愛的な関係は終わらないのか


 こうして女子校状態となっている統合戦闘航空団では、ウィッチたちは生活を共にする家族であり、戦場における仲間であり、失われた同じ祖国を思う友達であり、上官であり後輩でもあります。激しい戦いや温かい日常を通してウィッチたちは深い関係性を築いていくのですが、そのなかには少女同士が恋愛のような感情を抱くこともあるようです。エイラとサーニャ、トゥルーデとエーリカあたりが特に顕著で明らかに頬を赤くしたり、嫉妬したりしています。美少女アニメにおいて「なぜ女の子同士が恋愛のような関係になるのか」という違和感を感じてしまう作品も多いかと思うのですが、ストライクウィッチーズでは前述のウィッチの特殊な環境により、少女同士が強い愛情を持つことが自然に描かれています。例えば2期においては、坂本美緒は魔法力の消失で使命が果たせなくなることに苦しむのですが、後輩である宮藤が成長して自分の意思を継いでくれることで、上官としての誇りと後輩の宮藤への愛を感じるのです。ウィッチとしての短い時間が終わって大人になれば、男性と普通の恋愛をして結婚するのかもしれません。それでも確かに、少女たちは恋愛的な関係を結んでいた時間があったのです。



○「わたしにできること」をしてみんなを守る


 ウィッチたちは固有魔法を持っており、それがキャラ付けやストーリーの要になっています。宮藤の固有魔法は治癒とシールドであり、主人公としては地味にも思えます。(最終回付近の盛り上がりでは魔法力を炸裂させてとてつもなく大きいシールドで攻撃するようにはなります)宮藤の治癒とシールドはみんなを守りたいという気持ちを象徴するものです。ウィッチ同士の深い関係性が描かれたからこそ、みんなを守りたいという宮藤たちに共感し、応援したくなるのです。ストライクウィッチーズはパンツがズボンだったり、魔法力を使うとケモ耳が生えたりと男性向けの色物アニメと見られがちですが、美少女アニメにおける非現実性への違和感を感じさせないような、リアリティを持っている作品だと思います。ところで彼女たちが戦っているネウロイとは何なのでしょうか。1期で登場したネウ娘はなんだったのでしょうか。501統合戦隊は今後どうなるのでしょうか。今後も次のシリーズが制作され長く愛される作品であることを願っています。